セリンクロ錠は、飲酒の1~2時間前に服用することで、中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑え、アルコール依存症患者さんの飲酒量を低減する薬剤です。抗酒薬や断酒維持を目的とした断酒補助剤は国内でもすでに販売されていますが、多量な飲酒を繰り返すアルコール依存症患者さんが飲酒量を減らしていく過程を補助する薬剤はありませんでした。アルコール依存症は、多量な飲酒を繰り返すことで飲酒したいという欲求が強くなり、飲酒行動をコントロールすることが難しくなる疾患です。健康や仕事、家庭生活に重大な支障をきたすことで、社会的・経済的な影響が大きいとされています。最新のアルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインでは、最終的な治療目標は原則的に断酒の達成とその継続とした上で、飲酒量低減治療は断酒に導くための中間的ステップあるいは治療目標の1つとして位置づけられています。セリンクロが飲酒量低減治療の新たな選択肢となることにより、お酒を減らしたいと望むアルコール依存症患者さんの治療に貢献することが期待されます。
用法・用量
通常、成人にはナルメフェン塩酸塩として1 回10mg を飲酒の1~2時間前に経口投与する。ただし、1 日1 回までとする。なお、症状により適宜増量することができるが、1 日量は20mg を超えないこと。
用法・用量に関連する使用上の注意
服薬せずに飲酒し始めた場合には、気付いた時点で直ちに服薬すること。ただし、飲酒終了後には服薬しないこと。