解離性同一性障害と統合失調症の見分け方を聞いた

解離性同一性障害(DID)と統合失調症は、いくつかの症状が似ている部分もありますが、異なる疾患です。主な違いは、症状の現れ方や病理的なメカニズムにあります。

1. 解離性同一性障害 (DID):

  • 特徴: DIDは「複数の人格」が現れる障害で、患者が複数の異なる人格(アイデンティティ)を持つことが特徴です。これらの人格は、思考、感情、行動が異なり、時には患者が自分の行動を全く覚えていないこともあります。
  • 症状:
    • 異なる人格(アイデンティティ)の交代
    • 記憶の断片化(例えば、ある人格のときの出来事を他の人格が覚えていない)
    • 人格間で異なる思考や行動パターン
    • 自分の体験や行動を他人のように感じる「解離的体験」
  • 原因: 主に重度のトラウマ体験、特に幼少期の虐待や強いストレスが関係しているとされます。

2. 統合失調症:

  • 特徴: 統合失調症は、現実との接触が失われる精神的な障害で、幻覚、妄想、思考の乱れなどが主な症状です。人格の交代はないものの、自己認識の障害や現実と非現実の区別がつかなくなることがあります。
  • 症状:
    • 幻覚(聴覚幻覚が最も一般的)
    • 妄想(例えば、他人が自分を監視しているという考え)
    • 思考の障害(言葉や会話が断片的でまとまらない)
    • 感情の平坦化(喜怒哀楽が鈍くなる)
    • 注意や記憶の問題
  • 原因: 遺伝的要因や脳内の神経化学的な不均衡が関与していると考えられています。

見分け方:

  • 人格の交代: DIDは明確に複数の人格が交代しますが、統合失調症にはそのような人格交代はありません。統合失調症では、しばしば自己の認識の混乱が見られるものの、人格自体は一貫して保たれます。
  • 幻覚や妄想: 統合失調症では幻覚(特に聴覚幻覚)や妄想が顕著で、患者は自分が聞いている声や思い込みを現実として捉えます。DIDでは、幻覚や妄想の症状は必ずしも主要な症状ではなく、主に自己のアイデンティティに関連する解離的な症状が強く現れます。
  • 記憶の喪失: DIDでは人格交代時に記憶の喪失が起こることが多く、患者は「自分ではない他の誰か」が自分の体を操作していたという感覚を抱きます。統合失調症では記憶障害はありますが、人格交代とは異なります。

まとめ:

  • DIDは、複数の人格が交代することが特徴で、記憶の断片化や自己の体験に対する解離が中心です。
  • 統合失調症は、幻覚や妄想、思考障害が主な症状であり、人格交代は見られません。

それぞれの症状の現れ方に違いがあるため、専門家による評価が重要です。もし診断に不安があれば、精神科の専門家に相談するのが良いでしょうとのこと。