家族と責任 ― 新聞社のえらい人が仕事をやめた理由 ―

毎日新聞は過去にリタリンの乱用問題について特集記事を掲載していました。​一方で、同社の幹部の家族が薬物事件で逮捕されたことは、同社の姿勢と整合性に疑問を投げかけています。​

リタリンとは

リタリン(一般名:メチルフェニデート)は、主に注意欠陥多動性障害(ADHD)やナルコレプシーの治療薬として使用される中枢神経刺激剤です。​しかし、その高い依存性から乱用の危険性が指摘されており、過去には日本でもリタリンの乱用が社会問題となりました。​クリニック西川+2薬物のない世界のための財団+2なるこ会+2

毎日新聞の報道姿勢

毎日新聞はリタリンの乱用問題に関して、2007年9月18日の記事で「リタリン:依存症治療、2年で2倍 処方安易で乱用--医療施設全国調査」と報じています 。​さらに、同年12月21日には「リタリン:処方制限 ADHD治療に不安」との見出しで、処方制限に伴う影響についても取り上げています 。​なるこ会

幹部家族の薬物事件

一方、2019年3月には、毎日新聞社の常務取締役である増田耕一氏の妻が覚醒剤取締法違反で逮捕される事件が発生しました。​この事件を受けて、増田氏は同社の役職を辞任しています。​

整合性への疑問

毎日新聞が過去に薬物乱用問題を積極的に報じていたことと、同社幹部の家族が薬物事件を起こしたことは、同社の内部管理や倫理観に対する疑問を生じさせます。​報道機関としての信頼性を維持するためには、内部のコンプライアンス強化や再発防止策の徹底が求められるでしょう。

◎できごとのまとめ(5W1H)

  • いつ(When):
     2019年2月7日と3月1日ごろのお話です。
  • どこで(Where):
     東京都新宿区にある自宅と、新聞社(毎日新聞社)で起こりました。
  • だれが(Who):
     毎日新聞社の常務取締役だった増田耕一さんと、その妻(つま)である増田ルミ子さん
  • なにを(What):
     増田さんの奥さんが、覚せい剤という違法な薬物を持っていたことで逮捕されました。
  • なぜ(Why):
     兵庫県警が薬物を売っていたグループを調べていたところ、お客の一人として奥さんの名前が出てきたため、自宅を調べて発覚しました。
  • どのように(How):
     警察は奥さんの自宅を家宅捜索(がたくそうさく:家を調べること)し、覚せい剤を見つけ、現行犯で逮捕しました。
     一方、夫の増田さんは事件に関わっていませんでしたが、「家族が問題を起こしたことに責任を感じた」として、自分から新聞社の仕事をやめました

◎お話のポイント

日本の三大新聞のひとつとされる「毎日新聞」の中で、増田さんはとてもえらい立場にいました。でも、自分の奥さんが法律をやぶる事件を起こしたことで、「社会に対して責任を取るべきだ」と感じ、仕事をやめることを決めたのです。


◎みんなで考えてみよう

  1. 増田さんは悪いことをしていないのに、なぜ仕事をやめたのでしょう?
  2. 家族が問題を起こしたとき、自分がどう行動するべきか、考えたことはありますか?
  3. 薬物はなぜ使ってはいけないのでしょうか?
  4. 自分の行動が、まわりの人にどんな影響を与えるか、考えたことはありますか?

◎おわりに

このお話から学べるのは、

  • 薬物はとても危険で、絶対に使ってはいけないこと
  • 自分が悪くなくても、他人のために責任ある行動を取ることの大切さ
    です。

私たちも、まわりの人のことを考えて行動できるよう、日ごろから心がけていきましょう。

◎ある新聞社で起きたできごと

日本には、たくさんの人に読まれている「毎日新聞(まいにちしんぶん)」という新聞があります。その新聞社では、増田(ますだ)さんという人が、たくさんの記者たちをまとめる大切な仕事をしていました。

ある日、増田さんの奥さんが、法律で使ってはいけない「薬物(やくぶつ)」を持っていたことで、警察に逮捕(たいほ)されてしまいました。

この薬物は、「覚せい剤(かくせいざい)」という名前で、使うと心や体をこわしてしまう、とてもあぶない薬です。


◎「自分は悪くない」けれど

警察の調べでは、増田さんが事件に関わっていたわけではありません。でも、新聞社ではとてもえらい立場だったので、「家族が事件を起こしたことは、まわりに大きな心配や迷惑をかけてしまった」と思った増田さんは、自分から「仕事をやめます」と申し出ました。

その後、新聞社も増田さんの気持ちを受けとめて、仕事をやめることが決まりました。


◎みんなで考えてみよう

このお話には、いろいろな立場の人が出てきます。

  • 薬物を使ってしまった増田さんの奥さん
  • 仕事をやめることにした増田さん
  • 事件を報道(ほうどう)した新聞社の人たち
  • 社会や読者(どくしゃ)の人たち

それぞれが、何を考え、どう行動したのかを想像してみましょう。


◎問いかけ

  1. 増田さんは事件に関係なかったのに、なぜ仕事をやめることにしたのでしょうか?
  2. 家族が問題を起こしたとき、自分にできることは何でしょう?
  3. 正しい情報を伝える新聞やニュースは、どんな責任があると思いますか?
  4. もし自分の身近な人が悪いことをしたら、あなたならどうしますか?

◎おわりに

このお話からわかることは、「責任(せきにん)」とは、自分が悪くなくても、まわりの人に心を配ることでもある、ということです。また、薬物はとてもこわいもので、どんな理由があっても近づいてはいけないということも、忘れてはいけません。

毎日新聞常務が辞任 妻の覚醒剤事件受け引責

【2019年3月4日・東京】

毎日新聞社は2019年3月1日付で、同社常務取締役の**増田耕一氏(当時)が辞任したと発表した。あわせて、持ち株会社「毎日新聞グループホールディングス」の取締役も退任している。増田氏の妻で広告会社に勤務していた増田ルミ子容疑者(当時46歳)**が、覚せい剤取締法違反(所持)で起訴され、さらに使用容疑で再逮捕されたことを受け、「社会的責任を痛感し、自ら申し出た」(同社)としている。


妻を現行犯逮捕 読売新聞本社も家宅捜索

事件は同年2月7日、兵庫県警が東京都新宿区にある増田容疑者の自宅マンションで、覚醒剤を所持していたとして現行犯逮捕したことから始まった。増田容疑者は、密売グループの捜査の中で購入者のひとりとして浮上。捜査関係者によると、覚醒剤の使用容疑でも捜査が進められた。

逮捕当日は、増田容疑者が職場として出入りしていたとみられる読売新聞東京本社の一角も兵庫県警により家宅捜索を受けた。これにより、報道機関2社の名が事件に関わる形となり、波紋が広がった。


毎日新聞の初動対応と社内の混乱

逮捕直後、毎日新聞社の社長室広報担当は「『増田』という姓の取締役がいることは事実だが、容疑者との関係は不明。現在、事実関係を確認中」としていた。しかし、その後、夫婦関係が公に確認され、社内外からの批判を受け、増田氏本人が辞任を申し出たとされる。


結末とその後

増田ルミ子被告はその後、覚せい剤取締法違反(所持)で起訴され、執行猶予付きの有罪判決を受けた(判決日・刑期は非公表)。事件に関与していないとされた増田耕一氏については、以後公職などへの復帰は報じられていない。

一連の事件は、報道機関幹部の家族による刑事事件として、メディア界にも少なからぬ影響を与えた。社内コンプライアンスや報道倫理のあり方が改めて問われる契機ともなった。