うつ病の原因とトリンテリックス

うつ病の原因は、1つではなく、遺伝的要因や身体疾患、これまでの経験、性格、自分を取り巻く環境、そしてストレスが積み重なり、脳細胞の活動性のバランスが崩れることで発症します。また、うつ病の多くは、重要なできごとや、慢性的な過労状態など、ストレスを感じるような状況の後で発症します。

抗うつ薬 トリンテリックス

【特徴】
トリンテリックスは、複数の神経伝達物質を調節することで、うつ病に起因する多様な症状を改善することが期待されています。

【承認状況】
海外では、米国、欧州、カナダを含む計80ヵ国以上で承認されています。

【作用機序】
複数の5-HT(セロトニン)受容体への作用と、SERT(セロトニントランスポーター)阻害作用を介して、セロトニン系、ノルアドレナリン系、およびドパミン系等の複数の神経伝達系に関与することにより、セロトニンだけでなくノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンの遊離を調節します。

【用法・用量】
通常、成人にはボルチオキセチンとして10mgを1日1回経口投与します。なお、患者の状態により1日20mgを超えない範囲で適宜増減できますが、増量は1週間以上の間隔を空けて行います。なお、CYP2D6の阻害作用を有する薬剤を投与中の患者または遺伝的にCYP2D6の活性が欠損している患者では、本剤の血中濃度が上昇するため10mgが上限となります。

【副作用】
大うつ病性障害患者を対象とした国内臨床試験および国際共同試験において、1,050例(うち日本人708例)中、499例(47.5%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、悪心200例(19.0%)、傾眠63例(6.0%)、頭痛60例(5.7%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、セロトニン症候群、痙攣、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(いずれも頻度不明)が報告されています。